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[As Seen on ReBITA] バリのくらし: ごく自然に生まれる循環の日々

[As Seen on ReBITA] バリのくらし: ごく自然に生まれる循環の日々

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「バリ」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはリゾート地の風景かもしれません。けれど、観光地としての華やかさの奥には、自然と人とが特別な関係を築いている日常があります。そこでは、サステナブルなどという言葉が世の中で語られる前から、宗教文化や島国の暮らしという事を背景に、循環や再生を尊重する考え方が暮らしの礎として存在するように感じられます。今回は、そんな豊かで朗らかなバリのくらしの様子をお届けします。

 

「原点回帰」に気づく土地

今回ご紹介するのは、バリの中でもウブドを中心としたエリア。ここで出会った場所や人々の営みからは、「自然と共に生きる」のではなく「自然の一部として在る」という、人々がきっとこれまでも大切にしてきたであろう回帰の価値観が見えてきました。

 

循環が当たり前にある場所

 

ウブドの緑深いエリアに佇むエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」。ここは、循環する暮らしの在り方を体現する場所です。

そこで体験する暮らしぶりは、とても慎ましくも豊かなもの。たとえば、敷地内で栽培された野菜は食卓に並び、食べ残しは堆肥となって再び畑へ。雨水は貯留され、日常の水として活用されます。建物は竹や土といった自然素材で建てられ、風通しの良い構造が心地よさを生み出しています。エアコンも存在しておらず、自然の風が室内を通り抜ける。夜は蚊帳の中で眠るのです。

 

 

こうした営みは、今や「サステナブル」「リジェネラティブ」といった近代のコンセプトと捉えられがちですが、この土地の気候風土や、目に見えぬもの、生きとし生けるものと共に生きるための叡智を大事にしてきたバリ人古来の哲学に学び、寄り添った結果だそう。

だからか、この様子から思い出されるのは、意外にも日本の古民家の様子。なぜなら、そこにあるのは、茅葺き屋根、開放的な空間、自給自足という、日本人も古来から体感してきた暮らしだから。「Mana Earthly Paradise」で出会える暮らしの一部は、日本にもかつて存在していたものなのです。

 

終わりを決めない、ものづくり

 

 

バリの飲食店から集められた使用済みの割り箸や竹串。多くの場所では焼却されるか埋め立てられるものを、まだまだ使える素材として再定義し、捉え直しているのが「ChopValue」です。

集まった数多くの箸を高温・高圧で圧縮し、樹脂で固めることで生まれるのは、美しい木目を持つプロダクト。耐久性と性能を考慮して設計されたテーブルや壁面パネル、インテリア製品、家具へと姿を変え、再び暮らしで役割を担います。

これらの営みの数々から見えてくるのは、この空間が「廃棄物処理場」ではなく「素材が生まれる場所」だと定義されている点。ゴミだと認識するのはあくまでも人間の主観であり、見方を変えることで新しい可能性が見えてくるのではないか、という素朴な視点に立ち返ることができるのです。

 

実験と探求を続ける建築

 

 

「The Kul Kul Farm」の敷地に点在する数々の建築物。実は、すべて「Bamboo-U」で開催されている研修プログラム参加者たちの手で作られたものなのだそう。

世界中から建築を学びに訪れた人々が、実際に竹を組み、構造を考え、建物を完成させていく。その過程で生まれた宿泊施設や学びの空間が、また次の参加者を迎え入れる。建築が建築を生む循環がここにはあります。

 

 

バリは、気候の条件上、竹がとても早く育つ土地。3年ほどで伐採し建材として使えるようになり、約30年もの耐用年数を有するため、この土地で活用される資材として選定されているのだそうです。

また、この空間でユニークなのが、「30年で終わる」ことを前提にしているからこそ、常に新しい工法を試し、技術を磨き続けられるという考え方。土地に根付いたものを活用しながら、自然に逆らわない暮らしの在り方を探求する。そんな姿勢は、バリの暮らしの根底にも根付いているのかもしれません。

 

思想が息づく場所

 

 

「Potato Head」は、一見するとおしゃれなリゾートホテル。けれども、その空間を注意深く見ていくと、デザイン性の高さの裏に確かな思想が息づいていることに気づかされます。

象徴的なのは、バリ島のビーチで回収された5,000個以上の廃棄ビーチサンダルを使ったアート作品。カラフルな色彩が印象的な作品は、同時に海洋プラスチック問題への静かなメッセージでもあります。壁を彩る廃材のアート、カトラリーには使い捨てプラスチックの代わりに竹や木を使うといった選択。循環や再生という思想を、押し付けがましくなく、むしろ魅力的な体験として提示しているのです。

 

 

ここは、昔からバリで大切にされてきた価値観を、より多くの人に届ける“ハブ”としての役割を担っている。そんなふうにも感じられます。広く浸透していくための一助として、ホテルという人々が集う場を上手に活用しているのかもしれません。

 

バリの暮らしが教えてくれること

 

 

訪れた場所から見えてきたのは、バリには「特別なサステナブル」はなく、自然に寄り添うことが当たり前の選択として根付いているということでした。

循環する食、終わりを決めないものづくり、手を動かして学ぶ建築。それぞれの空間から見えてきたのは、土地の気候風土に合わせ、手に入る素材を活かし、無理なく続けられる方法を選んできた人々の営みでした。

 

 

原点への問いかけ

 

 

バリで出会った暮らしは、日常の中で見失いがちな視点を思い出させてくれるものでした。便利さや効率を優先する毎日で、本当に大切にするべきものはなんだろうか。自然との関係性を育むのではなく、人間もまた自然の一部として「在る」──そうした豊かさが、そこにはありました。

新しいようで古くて、古いようで新しい。そんなふうにも見えるバリの日々が教えてくれたのは、特別な知識や技術などではなく、もっともっと根源的な、「暮らしの在り方」への問いでした。


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